今年(2023年)の1月15日に岐阜県飛騨市で三寺まいりが開催されました。
今年の三寺まいりは、新型コロナウィルスの感染拡大前とほぼ同様の規模での開催のようですが、コロナ対策として原則マスクをしての開催となりました。
この記事では、何回か足を運んだ経験から、三寺まいりを撮影するにあたりヒントとなりそうなことをお伝えしたいと思います。
この三寺まいりは、概ね私の撮影はじめになることが多いお祭りです。ちなみに、タイトルはBING AIにつけてもらいました(笑)
三寺まいり 基本情報
基本情報
岐阜県飛騨市 旧古川町内の円光寺・真宗寺・本光寺と瀬戸川沿い。
※いずれもJR飛騨古川駅から徒歩圏内
毎年1月15日の12時から21時頃まで開催しています。
曜日は関係ありませんし、天候も関係ありません。ちなみにハイライトは19時頃なのかなと個人的に思います。
三寺まいり 歴史
歴 史
浄土真宗の開祖である親鸞聖人は、旧暦(太陰暦)1262年(弘長2年)11月28日に90年の生涯を閉じ、現在も京都市の大谷本廟に埋葬されているそうです。
この亡くなった日を現在の太陽暦に引き直すと1263年1月16日ということになり、この日の前の晩に浄土真宗西本願寺派である円光寺・真宗寺・本光寺の3つのお寺で報恩講(法要)が行われ、これらの3つのお寺を巡るため三寺まいりと呼ばれるようになったようです。
ちなみにここ飛騨古川のみならず全国の浄土真宗のお寺この報恩講は執り行われている模様です。
時は明治時代。日本の基幹産業は生糸(絹糸)の生産であり、1870年代には日本の輸出総額の50%に迫る勢いだったそう。
そんな製糸工場が、長野県の諏訪湖周辺に多くあり、飛騨地方からもからは工女として多くの農村の10代から20代の娘を働きに出ることとなりました。
その工女たちが冬場に飛騨地方に戻ってきて、着飾って三寺を巡っていたということで、いつしか男女の出逢いが生まれたということのようです。
どこかのサイトで、「今でいうところの『街コン』」と表現しているサイトがあり、若干の違和感があったものの、かといってなかなか言い得て妙な気もします。
飛騨地方から諏訪地域までは乗鞍岳と御嶽山の鞍部を通過する野麦街道を利用していました。
今でいうところの岐阜県道・長野県道39号奈川野麦高根線は、現代の技術をもってしても、冬季通行止めとなる箇所であり、冬季はいかに厳しい道のりであったか想像ができます。
小説「あゝ野麦峠」でも描かれているように遭難死も多い過酷な道だったようです。
ちなみに野麦街道は、富山で水揚げされたブリを高山経由で運ぶ道でもありました。
現代の基準でみると確かにブラック企業以外の何物でもないわけですが、明治・大正時代といった、現代と比べれば「人命軽視」であっただろうし、当時の標準的な職場でもあったらしいです。また、飛騨地方で働くよりも条件が良かったために出稼ぎに行っているはずだし、片倉館などは元々福利厚生の施設だったことを考えると、取り立ててブラック企業というほどではない気がします。
一方で、「あゝ野麦峠」は、聞き取り調査により書かれていることや退職者の約4分の1が「逃走」(下記リンクの論文を参照)によって退職していることを考えると、かなり過酷な労働であったとも推測できます。
一つの事象でも様々な見方がある良い例かと思いますが、どちらにしても現代の基準で考えてはいけないように思います。
※Googleで上記論文名で調べていただけると、論文の全文がご覧になれます。
そのような由来を持つ祭りであり、今では縁結びのお祭りとしてのお祭りとして広く知られるところとなりました。
今ではしっとりと華やかな雰囲気を持っていて。過去の悲惨な出来事を忘れてしまったかのような雰囲気のお祭りではありますが、それはそれで全く問題ないのです。
三寺まいり 天候(寒さ)
天候(寒さ)
1月の飛騨地方はとても寒いです。
でも確かに寒いことが多いのですが、今年のようにそこまで寒くない年もあります。
というわけで、服装選びはとても難しいと言えます。車でおこしのかたは、厳冬期の服装で行ってみて、暑ければ車で着替えるなど調整することをおすすめします。でも、公共交通機関でお越しの方はちょっと大変ですね。
三寺参りの日は、雪がほとんどない年もあれば、不要不急の外出自粛を求められるような大雪の日もありますし、雨の日もあったり、晴れの日があったりと天候もまちまちです。
最悪なのが雨が降るケースで、雨は服にしみるし、傘は持たなくてはいけないしで、撮影環境は良くありません。
その点雪であれば、こまめに払うことによって対処できます。雪であれば風情もありますしね…
足元は、雪道にも対応できる防水性のあるスノーブーツを、アウターは撥水加工(できれば防水加工)のものが安心です。
ちなみに今年は電熱ベストを着ていきましたが、暑くて仕方がなかったです(笑)
三寺まいり 雰囲気
雰囲気
このお祭りのハイライトは、瀬戸川にある千本ろうそくでしょう。しかし、カメラマンを含めてかなりの混雑となりますので、時に殺伐とした雰囲気を感じられてしまうのが残念ではあります。
ちなみに元々は千本ろうそくはなく、いわゆる「映え」のために設置されたと聞いたことがあります。しかしながら、この千本ろうそくが観光客を呼んでいると言っても過言ではないと思います。
前項のとおり千本ろうそく付近は混雑しますので、混雑時(特に18時から19時)は三寺を巡ったり、祭り広場で出店で食事をすることを勝手に推奨します。
三寺を巡る道中は、車の進入は禁止されており安心して歩けますし、雪で成形されたろうそくが並んでいます。また、焼きもちのふるまいがあったり甘酒のふるまいがあったりして、何かと楽しめます。
三寺まいり 個人的な楽しみ
足で「寄れる」撮影環境なので、個人的には広角レンズから中望遠レンズ(135mmくらいまで)のレンズをお勧めします。このレンジであれば、撮影を楽しめると思います。最低限、標準域をカバーしていればだいたい何とかなるのではないでしょうか。
カメラ本体の性能が良くなったとはいえ、夜の撮影になりますので、F2.8よりも明るいレンズの利用をお勧めします。F2以下の単焦点レンズならなお良しです。
私の基本的な行動パターンは、午後2時~3時頃に現地に到着し、知り合いに新年のあいさつをしつつ、三つのお寺を巡ります。そうしていると日が暮れますので、今度は夜景の撮影をし、瀬戸川の人が引いてくる19時過ぎから瀬戸川の撮影をはじめ、21時頃に切り上げます。
写真を撮りに行くよりもむしろ、知り合いのカメラマンや地元の方に会いに行くのが楽しみだったりします(笑)
以上が三寺参りの撮影ガイドです。飛騨古川の他の記事はこちらから