
個人事業主が法人化をする場合、株式会社と合同会社のどちらを選択するのがいいのでしょうか?

合同会社の方が運営コストが安いので有利なのですが、他の要素も考えなくてはいけません。
この記事では、株主が1名の会社を前提として解説してゆきます。
株式会社の利点
株式会社の大きな特徴として、出資者は間接有限責任しか負わないという特徴があります。
間接有限責任とは、会社が赤字になって倒産したとしても、出資者(株主)は出資した金額を失うだけで、会社の負債を負わないということです。
ただし、経営者と会社が連帯して債務を負う場合もありますので、その場合は経営者も責任を負うこととなります。
「会社」と言えば株式会社で、「合同会社」ってなにと言われる方も多いです。
またかつては資本金1000万円と出資者7名を揃えられないと株式会社の設立が認められない時代もあり、そのイメージの良さは今日まで続いていると思われます。
また、株式会社の運営手続に関して、法定されている事項が多く信用があるという見解もありますが、株主が1名である会社は結局その1名だけで決定すればいいだけのことですので、社内手続きが面倒くさいということはないでしょう。
株式会社も法人ですので株式会社を設立することで得られる節税のメリットや厚生年金の加入といったメリットにも対応できます。
株主が1名である会社については、結局その1名だけで決定すればいいだけですので、経営の自由度は低いとは言えません。
合同会社の利点
株式会社と同じで、間接有限責任とされています。
会社の設立時に必ずかかる費用は下記のとおりです。
事柄 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
定款認証手続 | 約55,000円 | 不要(0円) |
会社設立登記 | 150,000円 | 60,000円 |
合計 | 約205,000円 | 60,000円 |
このように設立時の手続を比較すると15万円程度の差があります。
ただし、個人的には合同会社の設立手続きは司法書士への依頼をお勧めしていますので、司法書士が関与する合同会社の設立と自分で行う株式会社の設立を比較すると、優位性が揺らぐところではあります。
運営コストと言っても色々あるところですので、順番に見ていきましょう。
株式会社には決算後、その内容を公告をする義務がありますが、合同会社にはそのような義務はありません。もっとも、株式会社でも決算公告をしていない会社もあるとかないとか…
ちなみに株式会社の官報公告料金は次のリンクを参照してください。
株式会社だと、取締役や監査役は最長で10年の任期があり、10年経過時には再任の登記が必要です。
だいたい司法書士に依頼すると5万円程度の費用が掛かります。この登記を怠ると科料に処せられる可能性があります。
一方で、合同会社には任期がないので再任の登記は不要で、辞任や退任をしない限りは登記義務は生じません。
なお、過料とは何かについては、次の記事をご覧ください。
株式会社と同じです。
比較表
株式会社と合同会社の特徴を比較すると次の表のとおりとなります。
事柄 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
設立コスト | ||
決算の公告 | ||
役員任期 | ||
信用 | ||
経営の自由度 | ||
責任形態 |
ご覧のように、コスト面を考えれば合同会社のコストパフォーマンスはかなり高いと言えます。
しかし、まだ考慮すべき事項があります。
取引先との関係
私も最近まで知らなかった話なのですが、業界によっては「株式会社以外とは取引しない」業界があるそうなのです。
そのような会社と取引が想定されるのであれば、株式会社一択です。

「株式会社」としか取引しないという姿勢は許されるのですか?

取引先には取引の「相手方選択の自由」がありますから、その他の法律などに反しない限りは問題ありません。
合同会社がおすすめできる方
副業でしたら運営コストが低いほうがいいでしょう。ただし、取引先のと関係にご注意ください。
顧客が個人であれば運営コストが低いほうがいいでしょうし、株式会社でなければ取引しないという個人はそうはいないでしょう。
このような法人であれば取引先は限られているでしょうから、合同会社が最適だと言えそうです。

合同会社の設立は考慮すべき点が多く、株式会社よりも難易度が高いため、「プロが作る会社」と言われています。設立の際はお近くの司法書士まで是非!